バガヴァッド・ギーター

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35日目

2010/07/10 13:44 [Sat]



*すごくむかしのおはなし*

「無理を聞いてくれて有難う、ごめんね。」
「構わない。どうせ暇だから。」

窓際に腰掛けた紫銀の髪色をした青年は緩く頭を振るう。
目にかかるほどに長い前髪から伺える碧眼は、目の前に居る雪焼けの褐色の大きな男を見る。
両者とも人ではない証拠に紫銀は翼を、褐色は角と尻尾を生やしている。
褐色は下がった眉をさらに下げ、箱を取り出した。
中にはレースやストライプのリボン。宝石を模した色硝子。
二人には到底似合わない品だ、紫銀は一つまみ色硝子を取り明かりに透かしてみる。

「人間の…特に女の子にあげる品にとても困ってね。
 僕達は肉で十分嬉しいけど、彼女に肉をあげるわけにはいかないし。」

「だから髪飾りか。」

困ったように肩を竦める褐色に、紫銀は顔を向けず答える。
箱を引き寄せ、ストライプのリボンと裁縫箱を取り出し、ためしとばかりに縫い付ける。
折り目をつけ何度も塗っているうち、コサージュへと形を変えた。
おー、褐色がのんきな声を上げ、紫銀の手の中にあるコサージュを見る。

「凄いね、ヒラヒラしてる。あげたら喜ぶかな?」

「もう少し飾った方が良いだろう。
 じゃあこれを見本にして作ってみると良い。」

褐色は暫く奮闘しながら似たようなコサージュを作った。
暗褐色のコサージュに真珠と白のレースが飾られていた。
褐色はさも嬉しそうに、にこにこと笑うが癖になっているのか顔は何故か困った笑いだった。

「有難う、助かったよ。」

「どういたしまして。この貸しはつけておこう。」



*むかしのおはなし*

学校を卒業し、褐色は当たり前のように当時”召喚師”であった女性と生活をする事にした。
女性は花屋をしたいと言い出し、不思議でたまらなかったが手伝いをすることにした。
女性は大変勉強熱心で、花の事も一つ一つ詳しく調べ育てていた。
途中女性の小さな失敗で褐色は片方の角と目を失うことになったが、気にもならなかった。
それほど充実した生活だったからだ。
しかし時がたつにつれ、人は老いる。
女性の血族はネクロマンシーの一族でもあった。
それ故に年を誤魔化す事も心得ていた。
褐色はとても長生きをするせいか姿が変わらない、女性も変わらない。
さも当たり前のように感じた。
ずっとこの時が続くと感じていた。

変化は随分と昔からあった様で、女性は記憶を失いはじめる。
医者に聞けばアルツハイマーだと言う。
魔法でも医学でも治らない病に褐色はどうしたら良いか判らず、ただ離れるまいと女性に付き添った。

学校の頃から女性は、何故か褐色にだけは熱いお茶を淹れてくる。
褐色が猫舌であることを知っていて淹れるのだから意地が悪いが、女性の事だからと怒らずにいた。

「良い香りね。」

寝台の上から女性は弱弱しく言う。
女性がいつも淹れていたジャスミンは、今では自分も淹れられてしまえる。

「君がいつも淹れてくれたお茶だよ。」

一人では起き上がる事も出来ず、背を持ち上げ上体だけ起き上がる手伝いをした。
火傷をしないようほどほどの暖かさのカップを、一口飲ませた。
美味しいと小さく呟きが漏れる。
褐色を見上げ、少し不思議そうに首を傾げ問うた。

「貴方……どなた?」

ほどなくして女性はこの世を去った。



*すこしむかしのおはなし*

「久しいな。元気そうでなによりだ。」

随分と昔の筈が、変わらない姿で旧友は言う。

「やあ、お久しぶり。」

突然の紫銀の来訪に別段驚くでもなく、褐色は家へと旧友を招いた。
花屋は閉めたが、植物はまだ育てている。
廊下に何点。
日差しをとるために天井に大きな窓を沿えたリビングには様々な植物が飾られている。
紫銀はその植物を興味深そうに眺め、褐色は客人へと出すお茶を用意した。
本来生活するために買ったセットのカップが、今では客人のためのものだ。
ソファへと座り紫銀はジャスミンのお茶を頂く事にした。

「昔の貸しを返してもらいに来た。」

カップをソーサーへと戻し、ベルヌレットは唐突に切り出す。
思考を伺わせない碧眼でクレイドルを見た。

「俺を殺すのに力を貸して欲しい。」
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